甘い香りの誘惑に
誘われる君は蝶の花
甘い蜜に侵されて
宿された秘密に気付かない
Candy Lip Drop
苺の香りの甘い口づけに、覚えのない跡に、お前が居ない部屋。
気まぐれに俺の部屋を訪れる幻騎士がここの所、パタリとその足を止めた。
愛想を尽かれた訳ではない。
俺から奴を尋ねると別段変わった様子は無くいつもの通り白けた表情で出迎え、何食わぬ顔で俺に抱かれる。
気まぐれはいつもの事と、言えばそれで終わる話だが、気になって仕方がない。
その、妙に甘ったるい唇。
奴と同じ匂いがする。
「ウチは気付いてると思うけどね。」
「γがか?」
「幻さんが思ってるよりも彼は幻さんの事気にしてると思う。」
「…まさか、恋人でもあるまい、」
「幻さんの甲斐性なし。」
「…あ、」
「足元気を付けて、そこモスカの起動ボタン…」
「こんな狭い所で…どう気を付けろと言うんだ…」
「幻さん…我慢出来ないの…」
「ん、ぁ…スパナ…」
違う男の匂いをさせて、啄まれるその花を汚れた蜜で散らかす蝶が運ぶのは秘密をその体内に宿す魔法の粉。
「γ?」
弄らしく、汚れた体が俺を誘う。
「最近、お前から来なくなったな?他に楽しい玩具でも見付けたか?」
部屋に呼び付け、一人掛けのソファーに幻騎士を座らせ、その媚態を見下ろす。
俺の言葉に眉を潜める。
気付かないとでも思ったのか、染み付いた甘い香に、他の男の陰に。
「…何を、」
「すかした顔しやがって…へ吐が出るぜ。」
白い首を左手で鷲掴みにすると息が詰まって幻騎士が小さな息を零す。
喉仏が掌の中で波打っている。
この男はただの情夫に過ぎない、なのに俺は明らかにこの男に執着していた。
俺らしくない事に。
「俺はお前のそんな甘ったるくなった舌に興味はない。」
その言葉にようやく俺が感づいた理由を察して幻騎士は一瞬、目を見開いた。
その表情に妙にムカついて、眉間に口を寄せ、鼻筋を甘噛みした。
「γ…」
一旦口を離すとその次の言葉を塞ぐように幻騎士のふくよかな唇に歯を立てた。
吸い上げれば赤みを増してはち切れそうな下唇に何か言葉を浮つかせ、半開きになった隙間に舌を忍び込ませる。
苛つく、むかつく、何故こんなにも翻弄される。
肌を重ねてしまった時から、俺の体が自分の物でないかのようにこの汚れを求めて止まない。
「たっぷり可愛がってやるから、しっかり鳴けよ?」
この熱をどうにかしてくれ。
「ッ痛…」
夜に寄せる草花の眠りを妨げる、悲鳴。
夜露が花を腐らせると言うなら俺は喜んで憎まれよう。
「γ…痛ぃ…」
虫に植え付けられた種も、甘い蜜も、全部掻き出してこの体の記憶を植え付けてやる。
「下手に抵抗するなよ…壊れるぜ?」
悶える幻騎士の体を後ろ抱きにして、下から、上から掻き乱す。
男二人には狭いソファーに滴る汗と搾り出された苦い蜜がじっとりと熱い。
左手は幻騎士の秘部に、右手は弱点である耳を捕らえている。
咲き掛けの青い花のように張りのある耳の流線に指を添わせれば、左手に包まれた蕾が熟れていくのが解る。
「ぁ…、はぁ……」
幻騎士は辛そうに声を殺す。
身をよじり、しかしけして逃げようとはしない。
こいつも俺と同じように狂っているのだ。
体ごと裂いてしまいそうな程に膨張する欲情が幻騎士を貫き、満たされる度に痛みは和らぎ快楽に変わる。
「く、…」
羞恥心と恍惚に朱の注す目元に光る涙が頬を伝い俺の指を擽る。
そっとその雫を掬い、
意地になって食いしばっている口元へ指を滑らせれば溢れる唾液で濡れた唇が解放を求めて小さな亀裂音を立てている。
「幻騎士…」
耳元でその名を呼ぶと幻騎士は噛み込んでいた唇の力を弱くした。
そこを狙って口の端から指を滑り込ませると朦朧とした虚ろな瞳で幻騎士が何かを訴えている。
口空の中を探る指に幻騎士の舌が絡む。
「ん…」
刺激を催促するように幻騎士は俺の指をくわえて、しきりに喉を鳴らしている。
こうして時折垣間見せる幻騎士の淫乱とも思える無言の要求、
全身がもっと満たして欲しいと訴え、欲しいままに与えられた水を飲み干していく。
それを愛おしいと思ってしまった時点で俺は負けていた。
「ん、ぁ…」
突っ張っていた力が抜け始め、漏らす声がはっきりとなまめかしくなっていく。
「幻騎士…俺は…」
首筋に顔を埋め、その肌の香りを嗅ぎながら呟く。
繋がり合った部分が火照って酷く熱い。
「俺も、あいつと同じだ…」
花の香りに引き寄せられた羽虫に過ぎない。
それでも、構わない。
「お前を汚す、それだけ…」
強く腰を引き寄せて深く溶け合うと堪らずに幻騎士は天を仰いで俺の胸に体ごと預ける格好になった。
「ぁ、はぁ、ん…」
張り詰めた蕾は花開き、狂い咲いて傷一つ無い白い肌を白濁した蜜に汚していく。
肩に吸い付いて跡を残す。
深く、深く、
落ちていく。

「ガンマ、」
何度も狂い、気を失いそうな未だ繋がったままの体で幻騎士が俺の名を呼んだ。
「どうした?」
そっと囁くように聞いてやると幻騎士は少し声を詰まらせた。
あれだけ喘いで喉が涸れているのだから仕方ないと思っていると、その後に思わぬ言葉が紡がれる。
「おなじではない…」
俺は一瞬、何の事かと思ったが、数十分前に自らが言った言葉を思い出す。
「同じ訳がないだろう…」
そうとだけ言うと幻騎士は黙り込んでしまった。
その言葉の意味する物を共有したのだから、何も言う必要はない、という事だろう。
蝶が花に魅せられるように、花は蝶に依存している。
繋がりを断ち切り、吐いて捨てる事が出来るなら、こんなに想い、悩み、項垂れる事はなかったのだろう。
気怠い体を起こそうと、幻騎士が俺の胸に置いた掌が、生暖かい湿気と囁かな鼓動を交換する。
引き抜かれて尚、名残惜しい。
その苗床は育てた花を腐らせる、夜露を選び、甘い蜜を無くしたと、
方々から聞こえる笑い声に耳を塞ぐ事が心地良いのだ。
「…また来る、」
幻騎士はそういって部屋を出て行った。
end.
SP THANK 3000HIT
To大鷹琥珀 様
折角の記念小説がこんな消化不良系でいいのか否か、
いや、良くないだろうw
リクエストは「付き合いが長くて恋愛感情未満なγ×幻騎士にちょっかいを出す第三勢力出現(白蘭以外)」
との事でしたので、我等が蝶々さんスパナちゃんに横槍入れさせましたw
いや、スパ→幻は難しい;;;;;
無駄に執筆時間が掛かったのも絡ませづらかったんで、本当に、自分でもビックリするくらい;;;;
補足すると、
スパナと幻騎士は悪戯程度の事しかしていないのですが、γの中では色々と妄想が膨らみ、苛々している。
スパナは幻さん大好きですが、人間にはある程度の興味しか抱けない人だと思ってます←
そんなこんな、うっかりモスカ内プレイwwwww←
阿呆でスミマセン。
嫉妬というか、独占欲というか、
要はγは幻騎士が他の男に良いようにされるのが嫌なんですね。
男の子なんでねw←
まぁ、結局の所、やってしまえば『あれ?こんなモンか?』って思う嫉妬で、
『何だかんだ好かれてるのか?』ってお互いに思い直す。
ただし、この二人の相性は最高なんだと思う←
極論『気持ち良いから離れられない。』←←←
そんなγ幻←スパでした☆
キリ番取得者、大鷹琥珀 様 のみお持ち帰り自由です。
本当に有難う御座いました!!!!