紅い空、

血の海で貴方と契った証を



【小指の印】











全てを無くして逃げ込んだ貴方の懐。

鞘さえ持たない私の刃を鈍らせる程。


生温い戦場の風が吹きすさぶ、懐かしい匂いに囚われた。



犠牲のつもりで飛び込んだ貴方の縄張り。

鋭く磨がれた私の刃を包み込む程。


危ない狂気の香にむせ返る、妖しい気配に奪われた。







戦う力を無くした訳ではない。

ただその抱擁が心地良いだけ。


貴方が与える物は全て且つて私が心酔した場所を思い出させる。



ケモノの二人。




逢瀬は戦場。











紅い空、血の海で貴方と契った証をこの脚の小指に刻んで。

剥がされた爪から滲む紅は二人を繋ぐ血の印。


秘密事、誰も知らない貴方との契約を、今は信じていたい。



例えそれが刹那の記憶でも。











逆らえないからと受け入れた貴方の仕打ち。

硬く穿たれた私の刃を砕く程。


狂おしい屈服の快楽に蘇る、激しい渇きに掻き立てられた。







戦う事を忘れた訳ではない。

しかしこの鞘が心地良いから。


貴方が与える物を全て刻んで私が咀嚼して飲み込んでしまいたいと思わせる。



ケモノの二人。




逢瀬は戦場。











紅い海、惨状で貴方と結んだ証をこの体の中に刻んで。

掻き回された舌から零れる紅は二人を表す血の印。


内緒事、誰も明かせない私との契約を、貴方は信じていますか。



例えそれが戦場の記憶でも。










紅に染まる黒と白。



重なる思惑とは裏腹な求愛に私は戸惑っている。



気付けばこの体は貴方の印で満たされていた。



その悲惨さを貴方は解っているのでしょう。







ケモノの二人。




逢瀬は戦場。









紅い空、血の海で貴方と契った証をこの脚の小指に刻んで。

剥がされた爪から滲む紅は二人を繋ぐ血の印。


秘密事、誰も知らない貴方との契約を、今は信じていたい。



例えそれが刹那の記憶でも。





紅い罠、血の森で貴方と契った証をこの脚の小指に刻んで。

割られた爪から滲む紅は二人を繋ぐ血の印。


隠し事、誰にも語れない貴方との密約を、今は信じている。





交わされた戦いの記憶を傷痕に変えた、



小指の印。










end.