私は幻、


誰も愛してなどくれない。


また体が霧に溶けていく。





【ミダレタ夢】












愛する物を全て棄て、

この身を売った白い檻。


裏切りの汚名も、

冷たい寝台も、

私が望んだ夢の為。



今日から貴方が私の主、

何なりと申し付け下さい。

逆臣の罪も、

暗い夜長も、


全て望んだ夢のまま。



私を早く壊してしまえ。












血肉も心も魂も、

今は貴方の思うままに、

踊りましょう。



ただ、

願いが叶うなら、


あの夢のように愛して下さい。










白い指でこの躯を這み、

亡霊のような唇を奪って。


淡い瞳で微笑んで、

私を罵倒しながら摘み上げて。





これは私の見せた幻、

叶う事のない、


ミダレタ夢。











主の貴方が命ずるならば、

この舌さえも汚しましょう。

嘘吐きの罰も、

偽りの逢瀬も、


全て望んだ夢のまま。



私を早く壊してしまえ。












血肉も心も魂も、

今は貴方の思うままに、

踊りましょう。



ただ、

願いが叶うなら、


あの夢のように愛して下さい。










白い髪でこの頬を撫で、

鬼神のように正気を奪って。


薄い唇で微笑んで、

私を殴打しながら托し上げて。





これは貴方の見せた幻、

叶う事のない、


ミダレタ夢。










夢の中で私は悟る、


「私は幻、誰も愛してなどくれない。」


また体が霧に溶けていく。








ただ、

願う事が許されるなら










細い指でこの躯を這み、

空虚のような唇を奪って。


淡い瞳で微笑んで、

私を罵倒しながら掻き立てて。



甘い言葉でこの首を噛み、

獣のように理性を忘れて。


仮面の顔で微笑んで、

私を汚しながら絡め上げて。




これは私と貴方の幻、

叶う事のない、


ミダレタ夢。







こんな夢は誰も知らない、


ミダレタ夢が夜毎紡がれる、








この白い檻が私の楽園。












end.